14日、プロ野球チームの「阪神タイガース」が18年ぶりにセ・リーグ優勝を果たしました。
その結果を受け、過去のタイガース優勝時に大勢のファンが押し寄せて川に飛び込んだ道頓堀の戎橋周辺では、トラブルを防ぐため多くの警察官が通行規制にあたり、厳戒態勢を敷きました。
そんな道頓堀川から実は大腸菌が検出され、「泳げる川ではない」と専門家が注意を呼びかけています。
阪神タイガースのセ・リーグ優勝を受け、道頓堀川に飛び込む人も
14日、プロ野球チーム「阪神タイガース」が18年ぶりのセ・リーグ優勝を果たしました。
この日、大阪・ミナミの道頓堀川にかかる戎橋周辺は試合開始前から厳戒態勢。
午後5時28分、大阪市などは戎橋の様子を見物する人が滞留しないよう、隣の橋の欄干をシートで覆う対策を取りました。
さらにダイブ防止のため戎橋両端のスロープも封鎖。
午後8時ごろから、戎橋周辺の通行量が一気に増え始めます。
「立ち止まらないように」と警察官が大声で呼びかけるも、スマートフォンを片手に記念撮影する人が後を絶たず、人流が滞りました。
テレビの街頭インタビューとそれに応じる人でさらに渋滞が起き、「報道の方お願いします!」と警察官の注意が飛ぶ場面も…。
試合が終盤になり、阪神タイガースの優勝が目前になると、戎橋周辺で待機者が続出。
通行の流れはほぼ止まってしまいます。
そして、優勝が決まると地鳴りのような大音量が響き、歓声がとどろきました。
大阪府警察本部はこの結果を受け、人が密集することによる事故やトラブルなどが懸念されるとして、戎橋の欄干に沿って警察官を配置するなど、およそ1300人の態勢で警戒にあたりました。
試合直後、戎橋周辺には多くの人が集まり、バンザイをしたり、阪神タイガースの歌「六甲おろし」を合唱したりして、みんなで優勝を祝福。
一部のファンは、戎橋から飛び込む代わりに川沿いの遊歩道からダイブ。
大阪府警は一時戎橋を通行止めとする”強硬措置”をとりました。
幸い、けが人などはいなかったそうです。
また、周辺の混雑は朝までに解消し、この他に大きな混乱やトラブルはなかったとのことです。
道頓堀川「大腸菌検出 泳げる川ではない」専門家が注意喚起
阪神タイガースが優勝すると恒例になりつつある、道頓堀川への飛び込み。
しかし、川の水質を調査する専門家は「大腸菌が検出されていて、泳げる川ではない。トイレの便器の中に飛び込むようなものだ」と注意を呼びかけています。
2003年の優勝時には道頓堀の戎橋から5000人以上が川に飛び込む騒ぎとなり、1人が死亡したほか、複数のけが人が出ました。
この翌年、2004年から、大阪・北区にある日本分析化学専門学校は、川の水の濁りの程度や細菌の数などを調査しています。
水質は改善傾向にあり、去年11月には絶滅危惧種のニホンウナギの生息が確認されましたが、汚れの指標となる大腸菌の検出は続いていて、8月の調査では川の水100ミリリットル当たりおよそ1000個でした。
厚生労働省が定めた遊泳用のプールの基準は「大腸菌が検出されないこと」となっていて、日本分析化学専門学校の教務部長の宮道隆さんは「今も泳げる川ではない」と指摘しています。
その上で、「トイレの便器にたまっている水の中を泳ぐようなもので、腹痛や下痢などの健康被害につながるおそれがある。私も阪神ファンで『アレ』を楽しみにしている1人だが、水温が高い今の時期は菌も繁殖しやすく、飛び込むのは絶対に控えるべきだ」と注意を呼びかけました。
(文:Quick Timez 編集部)