画像:時事
29日に放送された「パンドラTV」(フジテレビ系列)。
「成田空港滑走路にあるポツンと一軒家」という企画内で、成田三里塚闘争の名残である「横堀鉄塔」にロケハンが潜入しました。
この曰く付きの鉄塔は成田闘争のまさに闇の部分。
堂々と地上派で放送した事で視聴者の心は暗雲がたれ込めザワついたようです。
一体、番組ではどのようなパンドラの箱を開けてしまったのでしょうか。
『パンドラTV』、地上波で堂々と闇の部分を放送し視聴者ザワつく
29日に放送された「パンドラTV」(フジテレビ系列)。
「成田空港滑走路にあるポツンと一軒家」という企画内で、成田三里塚闘争の名残である「横堀鉄塔」にロケハンが潜入しました。
この曰く付きの鉄塔は成田三里塚闘争のまさに闇の部分。
お笑いコンビ・ぺこぱの2人がロケハンに出発しますが、現場に近づくにつれ「強制収用実力阻止」など強烈なパワーワードが書かれた看板があり、裏手に回ると赤字で「第3滑走路粉砕」とデカデカと書かれています。
ぺこぱ・松蔭寺太勇さんは「オレ分かったかも。多分これ、首突っ込んじゃイケナイ話しだと思う」と青ざめた顔で語り、番組では1966年から現在まで継続している「成田闘争」と呼ばれる成田空港建設反対派と政府の衝突の現場である事が放送されます。
ポツンと一軒家までわずか1kmの所には監視台があり、身がすくんでしまうような物々しい雰囲気。
右折するとたどり着くはずが、標識には行き止まりと書かれており、近づく事すらできません。
外の景色を撮影するのは危険と言う判断なのか、スタッフからは「この先、音声だけで(撮影を続行)」との通達に、ぺこぱは憔悴の面持ち。
「本当リアルだなこれ」と観念して、2人はレポートを続行します。
その後は「撮影自粛」というテロップが流れ、イラストとナレーションで風景の説明がなされますが、3mほどの高い鉄板のような壁で覆われて、道路からは中を伺う事ができない、さながら刑務所のように常に誰かに見張られているような雰囲気だとか。
ポツンと一軒家までわずか200mの所で地下トンネルに差し掛かりますが、ロケハンのバスも「戻れるかどうか、不安なんでここまでで」と、全貌の分からないその先は危険であるとして、徒歩で向かう事になります。
「人に遭遇したらどうなるのか」と、ぺこぱは薄暗いトンネルの中を進んでいくと、先ほど来た道から警備会社の車が来て「この先は行き止まりですよ」とのこと。
警備会社スタッフより、「撮影不可」と言う言葉こそ出さなかったものの、ここでロケは中断。
スタジオに戻り、ぺこぱは共演者から「もっと行ってほしかった」などいわれますが、「とてもそんな雰囲気ではなかった」とし、奥に何があるのか過去の映像で「横堀鉄塔」と呼ばれるものだったと説明します。
現在、どのような姿をしているのかは不明ですが、いわゆる「団結小屋」と呼ばれる、社会運動など「闘争」の現地に設けられた拠点の事です。
横堀鉄塔内部には、活動家たちの墓地があるともいわれており、視聴者は
《パンドラTV、偶然観たけど成田空港内のポツンと一軒家をやって。ああ、こういう感じ久し振り。テレビで扱えない昭和の闇の歴史の部分を地上波で映すのって凄く久しぶりに見て(不謹慎かもですが)面白くて震えた》
《パンドラTVの成田空港こわかった…》
《リアタイで途中から見たけど、成田空港の問題って新左翼が関わってるから、かなりヤバいよ…死者も出てる事件だったし、浅間山荘事件を彷彿させるよね》
《成田空港が占拠されたり、火炎瓶で警察と戦ったり、そんな場所によく行くわ。》
《成田空港の件気になって航空写真見てみたら、闇深めだった…骨組みが残ってるのかな》
《横堀鉄塔のツイが昨晩よりもさらに伸びてるみたいだけどリプ欄が思ってた通りのことになってて朝から暗澹たるお気持ちになってる》
《パンドラTVで成田空港の闇を面白おかしくやってたけど大丈夫か?当事者からしたら笑い事じゃない過去だぞ》
《最近のテレビではない攻めた企画だったなぁ。》
《パンドラTVでぺこぱが成田三里塚闘争の中心地となった横堀鉄塔に向かった。すごいぞ、マジでガチでパンドラの箱だ。攻めまくってるね。》
など、食い入るように観てしまった視聴者からの書き込みで埋め尽くされました。
横堀鉄塔の舞台となった成田三里塚闘争とは
今回、ポツンと一軒家までたどり着く事なく断念した場所は成田国際空港の建設に反対する紛争あるいは闘争の拠点の一つです。
空港側のずさんな建設計画により騒音問題や民有地取得問題などが噴出し、空港建設に反発した地元住民らに、新左翼党派が合流し過激化。
政府と地元住民のすれ違いが連続し闘争は激化し、双方で死者が出る惨事となりました。
この闘争の影響により、成田国際空港は開港が大幅に遅れただけでなく、住民感の対立をはじめ、強烈な爪痕を残す事となり、その影響は現在も続いており、大きな影を落としています。
新左翼の活動家らによる暴動・破壊行為だけでなく、関係者を標的にした左翼テロも横行するなど、本件がきっかけとなりその攻撃は無差別の様相を呈するように。
全国で発生したゲリラ事件の半数以上は成田関連と発表され、地権者は集団移転に応じるなど、あまりにも悲惨な結果をもたらしたこととなどから、これまでメディアで表立って取り上げた事はありませんでした。
同番組タイトルにもある「パンドラ」とはギリシャ神話に出てくる地上最初の女性の事。
万能の神であるゼウスが、パンドラに不都合な真実が詰まった決して開けてはならない箱を渡しますが、パンドラは好奇心からその箱を開けてしまい、中にあった不幸や災いが飛び出たというもの。
この神話から「パンドラの箱」は「決して触れはいけないもの」の例えとなりました。
今回、バラエティで取り上げるにはあまりにもガチすぎて、「パンドラの箱」そのもの。
攻める姿勢の企画だった今回、成田三里塚闘争を知らない世代が増えてきた影響もあるかもしれませんが、見応えのある放送回となりました。
(文:Quick Timez編集部)