画像:時事通信フォト
5日に放送された「報道特集」(TBS系列)。
同番組ではこの日、「高額人件費のからくりを組織委職員が証言」と題し、東京オリンピックの各会場に派遣されるスタッフの人件費をめぐり、取材をしました。
しかし、その週明けにJOCの幹部が自殺をしたという報道がされ、大きな波紋が広がっています。
TBS「報道特集」、東京五輪の不透明な経費をめぐり現役職員からの内部告発を報道
5日に放送された「報道特集」(TBS系列)。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の現役の職員で、会場準備などを担当する男性が、同番組の取材に応じました。
男性は、「お金の流れっていうのは、我々も疑問に感じますので、この実態を知ってほしいなと」と、取材に応じた経緯を説明。
同番組ではこの日、組織委員会から広告代理店へ1日35万円、40日間で1,400万円を支払うとも取れる記載がある委託契約書や詳細な内訳を公表しましたが、組織委員会側では「人件費単価ではない」と否定していました。
これに対して現役の男性職員は「これは1人当たりの単価だと思います。人件費ですね。これは1日単価ですね。実際の運営に当たる人数で当然見積もりを出していると思う」と真っ向から否定。
1日35万円で仕事を請け負っているという現場のディレクターには、別の報酬も支払われている可能性もあり、合計80万円が支給されているという”いびつな構造”に、「一般的な感覚からしたら、あり得ない数字。」と、批判を展開し、「政治的なものが利権が絡んでいるから、こういった額になるのではと推察します」と不透明な金の流れを指摘していました。
組織委員会から業務を委託された広告代理店は下請けの業者に再委託を仲介をするのみで、管理費という名目で10〜15%のマージンを抜くのだそう。
国立競技場が会場の競技では、35億円が委託費として支払われるため、実際は3億5,000万円ほどが広告代理店の収入となります。
こうした中抜きをしている現状に、組織員会の内部からも「広告代理店より運営する業者と直でやりたいのが本音。」と異論を唱える人が多いのだといいます。
肥大したオリンピックの経費に胸を痛めているという現役職員の男性は、「組織員会の会計で賄いきれない部分は東京都や国の負担になり、税金で賄われる。」とした上で、「コロナ禍で失業率も増えていて、そういった人に対する福祉が重要ななか、そういったお金の使われ方をしているのは、やるせないと言いますか、許せないと言いますか、ありえないことなんじゃないかなと思います。」と、憤りをあらわに。
国や東京都に望むこととして、「国民の皆様の税金を使ってこの大会を開催する以上は、やはり適正な金額、適正なお金の流れで運営できるように。金を出す国や東京都が物申せばそういった体質も解消される部分があると思いますので、実態を知ってもらって問題に切り込んで欲しい」と懇願していました。
報道特集後にJOCの幹部が自殺…波紋が広がる
不透明な運営費のからくりについて、内部告発をした東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の現役職員の男性。
一方、週が明けた7日に放送された「news every」(日本テレビ系列)では、JOCの幹部が自殺をしたとの報道がされました。
この男性幹部は、都営地下鉄浅草線の中延駅で電車に飛び込んだということで、JOCで経理部長をしているのことです。
「報道特集」での内部告発からおよそ2日後に自殺の報道がされただけあり、ネット上からは、
《JOC経理部長って…まさか報道特集で内部告発してた人じゃないよね、まさか。》
《報道特集で内部告発してた人じゃねぇだろうな・・・。》
《亡くなったのはJOC幹部なのね。こないだの報道特集のキャプ貼ってる人いたけど、内部告発したのって五輪組織委の人だから別だよね?》
《JOC幹部の自殺って報道特集と関係あるのかな。》
《もしかして、、、週末の報道特集でJOCのお金の使い方を告発していた人?》
《JOC経理部長の自殺。土曜日の「報道特集」で金の流れについてかなり突っ込んだ特集していたけどもしかして関係ありそうな…。》
など、あまりにもタイムリーだったために波紋が広がりました。
JOCは日本オリンピック委員会の略で、国際オリンピック委員会(IOC)に加盟する日本代表の常設組織です。
今回の東京五輪が終わった後も組織は継続をしますが、 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、東京でのオリンピック・パラリンピックを開催するために組織された臨時の財団法人。
同大会がの終了後に解散をしますが、組織員会の中には地方の自治体などから出向している公務員も多く、税金の流れが不透明なところに疑問を抱く人も少なくないそうです。
しかし、今回電車に飛び込んだ方はJOCの幹部であり、「報道特集」で取材に応じた人とは別の人物。
あまりにもタイムリーな報道だっただけに、混乱する視聴者が多くいたのでしょう。
(文:服部慎一)